研究課題/領域番号 |
18591143
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤井 克則 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (70344992)
|
研究分担者 |
宮下 俊之 国立成育医療センター研究所, 成育遺伝研究部, 遺伝子構造研究室長 (60174182)
|
キーワード | 14-3-3タンパク / アポトーシス / 神経細胞死 / 分子調節 / 小児神経疾患 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、細胞内タンパク質である14-3-3 proteinの神経細胞における機能的役割を解明し、また小児神経疾患におけるその診断と治療への応用性を明らかにすることである。本年度の研究実施計画と達成状況について報告する。 本研究課題の目的は、細胞内タンパク質である14-3-3 proteinの神経細胞における機能的役割を解明し、また小児神経疾患におけるその診断と治療への応用性を明らかにすることである。本年度の研究実施計画と達成状況について報告する。 (1)分子生物学的側面としては、細胞内における14-3-3 proteinとASK1の相互作用、および14-3-3 proteinがASK1の酵素基質かどうかの検討を行っている。ASK1および14-3-3 proteinのrecombinant proteinを作成し、それを用いたinvitrokinaseassayを今後行ってゆく。現在のpreliminary dataでは、大腸菌で作成したrecombinant ASK1でもキナーゼ活性はよく保たれており、その機能維持性から種問で高度に保存されたタンパク質であることも推定された。 (2)臨床医学的側面からは、ヒト髄液中に含まれる14-3-3 proteinの疾患関連性およびその検出意義について解析を行っている。髄液中には様々なタンパク質が含まれるが、14-3-3 proteinは脳神経細胞重量の1%を占めるため、その検出は脳神経細胞の破壊を反映するとされる。また14-3-3 proteinには7つのisoformがあり、その検出パターンは罹患障害部位を反映することが知られている 本年度もヒト髄液中の14-3-3 proteinの解析を継続した。特筆すべき成果は小脳疾患における陽性率の高さを証明したことである。小児における小脳疾患はまれでありその疾患マーカーは存在しない。従って診断は臨床症状と頭部MRIにより原因不明のことも多い。我々は小児の小脳疾患7例(小脳炎2名、小脳失調症2名、小脳萎縮3名)についてその髄液中14-3-3 proteinを解析し6例で陽性であった。陽性例全例で頭部MRI画像上単独の小脳病変を認め、その由来が小脳であることを確かめた。中でも慢性進行性小脳疾患である乳児神経軸索ジストロフィー症では、疾患の進行に平行して髄液中14-3-3 proteinが検出され、高度の萎縮が完成した段階で検出されなくなったため、小脳疾患マーカーとして有用であることが推定された。また14-3-3 proteinのisofom解析では14-3-3 epsilonのみが検出され、罹患部位の推定に有用であることが示唆された(787字)。
|