研究概要 |
思春期では自分の思いを伝えられないことで、友人関係が表面的となりストレスも高くなるため、自分の思いを適切に周囲の人に伝えられることは重要であると考えられる。本研究では、中学生における自己表出を4カテゴリーに分類し、家族機能の友人及び家族に対する自己表出と友人関係及びストレス反応への影響によりレジリエンスを検討した。中学校12校1,356名を対象に無記名自記式調査を行なった。調査内容は、(1)学年・性別、(2)自己表出(直接的自己表出、非自己表出、直接攻撃的自己表出、間接攻撃的自己表出)、(3)不適切な友人関係、(4)心理的ストレス反応、(5)養育態度、(6)家族機能である。家族及び友人に対する自己表出カテゴリーと不適切な友人関係の相関は、男女とも直接的自己表出は関係回避と負の相関があり、さらに家族への直接的自己表出は支配とも負の相関がみられた。非自己表出は関係回避と仲間外れ不安に正の相関がみられた。直接攻撃・間接攻撃は、支配に強い正の相関がみられた。自己表出カテゴリーとストレス反応では、家族への直接的自己表出はストレス反応全般に負の相関がみられ、友人に対する非自己表出はストレス反応と正の相関がみられた。直接攻撃・間接攻撃は各ストレス反応との間に強い正の相関がみられた。さらに、直接的自己表出は軽度虐待に移行しやすい拒否的・厳格な養育態度と負の相関、家族機能と強い正の相関がみられた。以上より、思春期は家族より友人との関わりも重要になってくる時期であるが、友人関係を良好に保ち、ストレス反応を軽減させるためには、友人だけでなく家族に対しても自分の思いを伝えられるということが重要で、さらにそれを支える受容的な養育態度や家族機能が中学生のストレスに対するレジリエンスになっていると考えられた。
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