研究課題
基盤研究(C)
タンデム質量分析新生児マススクリーニングにおける新しい試料調整法である無誘導体化法を、年間5万検体分析体制で実施した。(1)誘導体化法と比べ、安全性と迅速性に優れ、分析精度は同等であり、大量検体処理に適していた。(2)無誘導体化法で可能となったセリンの分析で、シトリン欠損症スクリーニング指標を精度良く設定でき、患者発見に有用であった。(3)ピバリン酸産生抗生剤投与によるイソ吉草酸血症スクリーニング偽陽性を、イソバレリルグリシン分析二次検査法で再採血無しに判定でき、患者の診断にも有用であった。(4)高チロシン血症I型スクリーニング二次検査としてサクシニルアセトン定量法がスクリーニングに有用であることを確認できた。(5)C4OHアシルカルニチンの分析により短鎖ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(SCHAD)欠損症を発見した。(6)無誘導体化法で感度低下が問題となるグルタリルカルニチン定量は、安定同位体標識標品と高感度機器を使用すれば良好な定量性が得られることを確認した。またSCHAD欠損症スクリーニングの有用な指標となることが判明した。(7)カルニチントランスポータ異常症スクリーニングについて、遊離カルニチンの腎クリアランス測定が精密検査として有用であることを確認した。(8)脂肪酸酸化異常症のカットオフ値は、再採血濾紙血分析時に低く設定する必要があること、及び、血清アシルカルニチン分析が必要であること、また直接精密検査も必要性であることが判明した。それらの有用性や意義については今後の検討課題とした。対象疾患患者の医学管理と追跡調査においては、前年度から引き続きメチルマロン酸血症患児に対する生体部分肝移植の効果の評価にGC/MS法による体液中メチルマロン酸濃度の高感度定量法を応用し、特に髄液中濃度の意義について検討した。また、グルタル酸尿症1型患者の体液中グルタル酸及び3ヒドロキシグルタル酸濃度が治療効果判定に有用であることを確認した。
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