研究概要 |
平成19年度においては,ケトン体代謝異常症の分子病態について,蛋白3次構造変化とスプライシング異常を中心に解析を行った.フィンランドのオウル大学との共同研究によりヒトのミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ(T2)の結晶構造を初めて明らかにし,T2がカリウムイオンで活性化されるメカニズムを明らかにし,詳細なKineticsについて明らかにできた.T2欠損症患者において同定された7つの変異について,その変異の蛋白に与える影響について詳細に検討し,E252delが温度感受性をもつKm変異であることを明らかにした.またSCOT欠損症においてはR268H変異がやはり温度感受性の残存活性をもつ変異であることを明らかにし,ヒトSCOT3次構造モデルを作成して,その蛋白に与える影響について検討した.スプライス異常と考えられた症例の解析ではAlu配列による遺伝子の再構成が同定され,T2遺伝子においてもAlu配列を介した遺伝子再構成がこれで複数同定され,稀な病因ではないことが明らかとなった.T2欠損症でスプライシング異常をきたしたGK43においてはエクソン内の1塩基置換により,すぐその上流のcryptic splice donor部位が活性化されることをmini geneを用いたスプライシング実験で明らかにした.
|