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2007 年度 実績報告書

SMN遺伝子スプライシング制御を中核技術とする脊髄性筋萎縮症治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18591151
研究機関神戸大学

研究代表者

西尾 久英  神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80189258)

研究分担者 竹島 泰弘  神戸大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40281141)
李 明鎮  神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20273766)
キーワードSMN1遺伝子 / SMN2遺伝子 / バルプロ酸 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 転写効率 / スプライシング効率
研究概要

90%以上の脊髄性筋萎縮症(SMA)患者において、責任遺伝子であるSMN1遺伝子が欠失し、その相同遺伝子SMN2遺伝子が残存していることが知られている。SMN2遺伝子は、SMN1遺伝子と全く同じ蛋白をコードしているものの、SMN1遺伝子とはスプライシング・パターンが異なる。
近年、SMAの治療薬の候補として、バルプロ酸(VPA)が注目されてきている。VPAは従来から抗痙攣薬としてよく用いられてきた薬剤である。VPAがヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC inhibitor)としての作用を示す事から、SMN2遺伝子の転写活性を上昇させることが期待される。また、スプライシングを調節し、SMN1遺伝子型のスプライシング・パターンを誘導する事が期待されている。
私たちは、SMA患者由来線維芽細胞を培養し、VPAのSMN2遺伝子の転写、エクソン7のスプライシングに対する効果を検討した。培養液に添加したVPA濃度については、いずれも抗痙攣薬の治療濃度に相当する0.5〜1000μMの範囲内であった。各種濃度のVPAの効果について、投与前と投与後16時間での転写効率(トータルmRNA量、フルレングスmRNA量-FL、エクソン7欠損型mRNA量-Δ7)、スプライシング効率(FL/Δ7比)をRT-PCR/電気泳動ゲル検出で検討したが、これらに有意な変化は認められなかった。
この事実は、すべてのSMA患者由来の細胞において、VPAがSMN2遺伝子の転写活性を上昇させるわけでもなく、スプライシング調節に関与しているわけでもないことを示している。また、この事実より、SMAに対するVPA治療にあたっては、VPAが有効な患者を選択することが優先課題である事が明らかになった。研究者が示した実験方法は、VPAが有効な患者を選択するための方法として有望なものであると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] A novel mutation at the N-terminal of SMN Tudor domain inhibits its interaction with target proteins.2007

    • 著者名/発表者名
      Kotani T, Sutomo R, Sasongko TH, Sadewa AH, Gunadi, Minato T, Fujii E, Endo S, Lee MJ, Ayaki H, Harada Y, Matsuo M, Nishio H.
    • 雑誌名

      J Neurol. 254

      ページ: 624-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] C117T variant in the SMN1 gene found in the Japanese population.2007

    • 著者名/発表者名
      Sadewa AH, Harada Y, Sasongko TH, Matsuo M, Nishio H.
    • 雑誌名

      Pediatr Int. 49

      ページ: 8-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deletion analyses of SMN1 and NAIP genes in Malaysian spinal muscular atrophy patients.2007

    • 著者名/発表者名
      Watihayati MS, Zabidi-Hussin AM, Tang TH, Matsuo M, Nishio H, Zilfalil BA.
    • 雑誌名

      Pediatr Int. 49

      ページ: 11-4

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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