研究概要 |
昨年度(〜20年3月31日)の研究実績成果 アイマークレコーダー(眼球探索追跡装置)を用い,健常7歳,10歳,14歳児と成人の各群12名の合計48名を対象に,4種類の提示図を用いて探索眼球運動を比較検討した。成人群が他の群より総移動距離が有意に長く,注視点総数が有意に多かった。また総移動距離は7歳が最も短かった。(臨床神経生理学35:479-486,2007)探索眼球運動は,大脳の前頭前野機能を表していると考えられており,ADHD,高機能自閉症,学習障害児の評価で基礎データとなる。現在までに16歳,成人を加えて合計84人で統計解析を行い,総移動距離,注視点総数とも加齢とともに増加し16歳と成人で他の群と比べ有意に多かった。また48マルチチャンネルの近赤外線トポグラフィーを用いて摂食障害児の課題施行時の脳血流を施行し,興味ある結果が得られ(投稿中),摂食障害児の10人(平均年齢13.2歳)女児のSPECTでは対照群と比べ両側頭頂葉,後部帯状回の血流が低下していた(投稿中)。さらに,軽度発達障害児のスクリーニングとして,現在40カ国以上で標準化されているStrength and Difficulties Questionnaireを2899人,4-12歳で男女別に標準化し報告した(Brain Dev.2008,in press)。さらに25人のADHD,25人の高機能自閉症でSDQをチェックし,自閉症は社会性が有意に点数が高く,注意欠陥多動性障害児では行為問題と多動において得点が高かった(現在投稿中)。また心の問題や,障害発達を持つ児童に各種の睡眠障害が多いため,予防,治療的観点からアクチグラム等を用いた睡眠研究もおこない早期介入の効果を検討している。
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