研究概要 |
独立した3例のSMEI患者でみられたSCN1A変異を導入したノックインマウスの作成に成功し、このマウスが重篤なてんかん症状を呈することを見いだした(Ogiwara et al., J Neurosci-in revision)。このマウスのC57BL/6Jバックグラウンドホモ接合個体(-/-)は生後12日目ごろから発育が不良となり、まもなく瀕回のけいれん発作を示し、14〜17日までにほとんどが死亡する。ヘテロ接合個体(+/-)は、生後1ヶ月までに3分の1が、生後3ヶ月でおよそ半数が死亡する。SVJ129バックグラウンドでは、症状が大きく軽減され、ヘテロ接合個体(+/-)は生後3ヶ月でも死亡するものはごく僅かにすぎない。この症状を修飾する遺伝子の同定の為、SCN1A変異を導入したノックインマウスヘテロ接合個体(+/-)のC57BL/6Jバックグラウンド系統およびSVJ129バックグラウンド系統と国立遺伝学研究所の城石俊彦教授らにより開発されたコンソミックマウスシリーズを利用する。2つの系統が1つの染色体全域について異なった由来を持ち、ほかの遺伝的背景が共通である場合、これら2つの系統を互いにコンソミックな状態にあると呼び、これらの系統はコンソミック系統と定義される。国立遺伝学研究所では、C57BL/6JあるいはA/J系統を受容系統とし、供与系統としては日本産野生マウス由来の近交系であるMSMマウスを使用しコンソミック系統シリーズを完成させている。現在、国立遺伝学研究所(城石俊彦教授)から導入したコンソミックマウスの繁殖がようやく軌道に乗り、SCN1Aノックインマウスとの掛け合わせ、症状の解析・確認を続けている。
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