研究課題/領域番号 |
18591175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
田沼 直之 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00281676)
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研究分担者 |
林 雅晴 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00280777)
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キーワード | Lafora病 / 色素性乾皮症 / 急性脳症 / 酸化ストレス / ELISA / 8-OHdG |
研究概要 |
小児期発症神経変性疾患の神経変性に酸化ストレスが関与していることを明らかにするために、ELISA法による生体試料(尿、血液、髄液)中の酸化ストレスマーカー測定と剖検脳を用いた神経病理学的解析を行った。本年度は、進行性ミオクローヌスてんかんの病因として重要なLafora病において検討を行い、研究成果を第109回日本小児科学会学術集会で発表した(2006年4月)。剖検脳を用いた免疫染色の結果では、DNA酸化的障害産物(8-OHdG)や脂質酸化的障害産物が神経細胞の核に陽性であったが、Lafora小体とは一致しなかった。さらに、Lafora病患者尿中8-OHdGは正常対照に比べ上昇していた。このことからLafora病の神経変性に酸化ストレスが関与していることが示唆されたが、Lafora小体形成とは別の機序が考えられた。 さらに、色素性乾皮症(XP)の患者5名(A群4名、D群1名)の尿中酸化ストレスマーカーを測定し、結果を第48回日本小児神経学会総会にて発表した(2006年6月)。8-OHdGは正常コントロールに比べて、A群年長例とD群で高値を示した。脂質酸化損傷初期段階マーカーHELはA群年長例のみ高値、脂質酸化損傷後期段階マーカーACRは全例正常範囲であった。剖検脳での検討から、XPAでは淡蒼球の神経細胞に8-OHdG陽性細胞を認め、DNAの酸化的障害が神経変性に関与していることが示唆されたが、年長例での尿中8-OHdG高値からもこのことが裏付けられた。 またテオフィリン内服中に難治性けいれん重積を伴う急性脳症を発症した12歳女児において、急性脳症の経過中に頭部MRI画像にて信号異常を呈し、患児の髄液、血清、尿の8-OHdGの上昇を認めた。このことから、DNAの酸化的障害が急性脳症のMRI信号異常に関与している可能性があり、酸化ストレスマーカーの経時的測定が有用であると考えられた。
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