研究課題/領域番号 |
18591175
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
田沼 直之 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00281676)
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研究分担者 |
林 雅晴 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00280777)
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キーワード | 酸化ストレス / MELAS / 急性脳症 / タウ蛋白 / 色素性乾皮症 |
研究概要 |
小児期発症神経変性疾患の神経変性に酸化ストレスが関与していることを明らかにするために、ELISA法による生体試料(尿、血液、髄液)中の酸化ストレスマーカー測定と剖検脳を用いた神経病理学的解析を行った。本年度はミトコンドリア病MELASに関して、剖検脳を用いた解析にて病変周囲部のDNA酸化的障害産物8-0HdGの蓄積が増加していることを明らかにした。さらに抗酸化酵素MnSODの陽性細胞はコントロールに比べ有意に減少していた(Mitochondrion投稿中)。また、急性脳症の中で最近注目されている、二峰性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)の病態解明のために、各種髄液マーカーを測定した。髄液タウ蛋白は第1病日は正常で、第3病日以降に上昇することがわかった。このことから、AESDには軸索障害が弐関与しており、初発けいれんから二峰性けいれんの間に進行している可能性が示唆された(第50回日本小児神経学会総会にて発表、Brain Dev投稿中)。さらに、色素性乾皮痕(XP)患者の尿中酸化ストレスマーカーをELISA法で測定した。年長例を中心にXPA 7例中5例で脂質に対する早期段階の酸化ストレスマーカーHexanoyl-lysine adduct(HEL)の上昇がみられそのうち4例でDNAに対する酸化ストレスマーカー8-Hydroxy-2'deoxyguanosine(8-0HdG)、2例で脂質後期段階マーカーAcrolein-lysine adductがそれぞれ上昇していた。経年的な測定を施行しえた症例では年齢ならびに神経症状の進行に応じたHEL・8-0HdGの漸増現象がみられた。神経症状がそれ程進行していないXPD群患者においてもHEL・8-0HdG上昇が確認された。XP患者全体での8-0HdG・HEL平均値は、対照に比べて有意の高値を示していた(医学のあゆみ)。
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