研究課題/領域番号 |
18591176
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
内野 茂夫 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 室長 (30392434)
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研究分担者 |
岡本 伸彦 大阪府立母子保健総台医療センター, 調査企画部, 参事小児科医 (30416242)
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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キーワード | 小児自閉症 / SHANK3 / 22q13.3欠失症候群 / 遺伝子診断 / ゲノム / 広汎性発達障害 / シナプス / FISH |
研究概要 |
本研究の目的は、自閉症の神経病態を神経細胞の発達・シナプス形成異常と捉え、シナプス機能分子をコードするSHANK3遺伝に着目し、その異常を分子レベルで解析することにより小児自閉症の神経病態を解明することにある。そこで、本研究ではSHANK3遺伝子が欠失している22q13.3欠失症候群と類似の症状を示すが欠失がみられない患者127例について、SHANK3遺伝子(全21exonと一部のintron)の配列を解析した。その結果、SH3領域をコードする11番目のexon直下流に存在する2つのGCリピート(各10ベース)において、1つ欠失している患者1例および1つ挿入され3リピートである患者3例を見出した。また、SH3領域近傍で6アミノ酸が欠失している患者1例を見出した。いずれの遺伝子変異についても、健常人228例では検出されなかった。GCリピートについては、exonの直下流であることからエクソントラッピングベクターを用いてRNAスプライシングについて解析中である。さらに、変異を有する患者の血液からRT-PCR法によりcDNAをクローニングし解析中である。一方、SHLANK3遺伝子の異常がシナプス形成におよぼす影響を組織レベルで解析するため、マウスの胎仔脳に子宮内電気穿孔法を用いてShank3の変異遺伝子やRNAiを導入後、生後の脳発達機におけるシナプスの構造活性.相関を解析する手法を確立中である。これまで、SHANK3遺伝子の欠失による自閉症の症例は数多く報告されているものの、変異に関してはほとんど報告されていない。本研究で、22q13.3欠失症候群と類似性.を示す小児自閉症患者の中の約3%(4例/127例)に同一領域で変異を見したことは、非常に意義深い。今後さらなる解析を進めることで、SHANK3遺伝子の異常に基づく自閉症の病態が明らかになると考えられる。
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