研究課題
基盤研究(C)
平成18年度の成果は以下の通りである。1.POR異常症の表現型を決定する因子の解明40例以上のPOR異常症が疑われる患者を集積し、29例において13種類のPOR遺伝子変異を同定した。13の変異のうち、3つは残存活性陽性変異であり、そのほかは残存活性陰性と推測される変異であった。遺伝子型一表現型解析により、POR残存活性は骨形成異常において明瞭に、副腎不全と男性外性器異常においてある程度重症度と相関するが、女性外性器異常の重症度には反映されないことを見出した。この成績は、本症女児における外性器異常症の発症に従来想定されていた胎盤アロマターゼ活性低下以外の要因が存在することを示すものである。2.POR異常症における尿ステロイド代謝物解析遺伝子診断された29例および正常対象の尿ステロイド代謝産物を解析し、本症患者における通常のアンドロゲン産生経路(frontdoor pathway)由来のアンドロゲン産生量は、正常からやや低値であることを明らかとした。さらに、尿中5α-17-hydroxy pregnanoloneは解析全年齢を通じて高値、androsteroneは生後数ヶ月まで高値、その後正常範囲内となること、さらに、生後数ヶ月まではandrosteroneとetiocholanolone値に乖離か認められることを見出した。これらの成績は、POR異常症において生後数ヶ月間のみ17-OHPから5α-17-hydroxy pregnanolone、androsteroneを経て、testosteroneを介さずにdihydrotestosteroneを産生する新たなアンドロゲン産生経路(backdoor pathway)が機能していることを示唆する。このbackdoor pathway由来男性ホルモン産生過剰が、本症における女性外性器異常の成因であると推測される。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 91(7)
ページ: 2643-2649
Fertil Steril 85(3)
ページ: 787-790
ホルモンと臨床 54 : 65-75,2006 54
ページ: 65-75
ホルモンと臨床増刊号 54
ページ: 167-172