研究概要 |
中国上海市の復旦大学小児科学のDr. Xiaochuan Wangと韓国太田市の忠南大学微生物学のDr. Eun-Kyeong Joを研究協力者として、本研究を行った。以前に復旦大学においてフローサイトメトリーならびに遺伝子解析によるX連鎖無γグロブリン血症(XLA)の診断の技術指導を行い、すでにXLAの遺伝子解析については報告済みであるが、その後診断された症例数も増えている。またJeffery Modell Foundationからの基金も得て、中国における先天性免疫不全症(PID)のレファランスラボとして整備されつつある。また以前に私たちが同定したXLAの責任遺伝子BTKの非翻訳領域であるイントロン1の点変異例(IVS1-5G→T)の解析を忠南大学で以前に同定された同様の症例と比較検討して、レポーターアッセイを行い、活性が低下していることを報告した(Pediatr Int, in press)。 PIDは疾患によっては多様な臨床表現型を有したり、非典型的表現型を有したりするものが少なからず存在することもあれば、複数の原因遺伝子により同様な臨床表現型をとることもあり、遺伝子診断による確定診断の重要性が増している。しかしPIDの原因遺伝子は100以上が知られ、網羅的遺伝子解析が必要と思われるが、大変な労力を要する。そこで理化学研究所免疫アレルギーセンター(RCAT)とかずさDNA研究所の協力で、PIDの既知遺伝子を網羅的に遺伝子解析するシステムを立ち上げた。これまでのわが国のPIDのデータベースは紙媒体によるものであったが、RCAI内にWeb入力にヨルデータベース(PIDJ)を立ち上げた。さらにPIDの責任遺伝子と他の分子との相互作用ならびにPIDの候補遺伝子検索に有用なデータベース(RAPID)についても立ち上げた。今後はこれらのデータベースをアジア全体の患者を対象となるものに広げ、欧米のデータベースとリンクさせ、アジアはもちろんのこと世界に発信できるものとしたい。
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