研究課題
白血病細胞株(n=20)と新鮮白血病細胞(n=10)を用いてFLT3リガンド(FL)刺激による11q23転座型急性リンパ性白血病(ALL)細胞の抗白血病剤に対する抵抗性獲得の検討をin vitroで行った。(1)培養系にFLを添加するシステムを用いた検討:11q23転座型ALL細胞(2-5x10^4/well)を各種濃度のFLを添加あるいは無添加で96-well平底培養プレートで2日間培養後に、daunorubicin(DNR)あるいはcytosine arabinoside(AraC)を加えて、FL添加あるいは無添加でさらに3日間培養したところ、FL存在下で有意に生細胞数とviabilityが増加した。(2)膜結合型FLを高発現している骨髄ストローマ細胞株との共培養システムを用いた検討:96-well平底培養プレート内で単独あるいはconfluentになった骨髄ストローマ細胞株と共に11q23転座型ALL細胞を2日間培養後に、DNRあるいはAraCを加えて3日間培養したところ、骨髄ストローマ細胞株との共培養で有意に生細胞数とviabilityが増加し、抗FL中和抗体の存在化でその効果が部分的に解除された。これらの結果から、生体内において、膜型(あるいは分泌型)FLを産生している骨髄ストローマに接着した11q23転座型ALL細胞は、抗白血病剤に対する感受性が減弱するために微小残存病変を形成し、臨床的に早期再発に結びつく可能性が示唆される。
すべて 2007
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Cancer Res 67
ページ: 9851-9861