研究概要 |
IgA欠損症は最も頻度の高い免疫不全症である。日本人において約18,000人に1人と報告されている。IgA欠損症はIgAのみの低下を示し,他の免疫グロブリンやT細胞機能には異常が認められないことが多い。その病態にはIgAへのクラススイッチの障害等が想定されているが,不明な点も多い。一部の症例にα遺伝子の欠損やtransmembrane activator and calciummodulator and cyclophilin ligand interactor(TACI)の遺伝子変異等の報告がされている。IgA欠損症の病態を詳細に明らかにするためにIgAサブクラスの発現比を検討することは有用と考えられる。そこで,IgA欠損症患者についてIgAサブクラスの発現比をPCRとELISAを用いて解析した。 IgA欠損症患者の病態解明を行うため,PCRとELISAを用いてIgA欠損症患者におけるIgAサブクラスの発現について検討を行った。末梢血単核球細胞のα1,α2遺伝子の発現比は,血漿中のサブクラスのタンパク発現と強い相関を示した。TGF-β1およびphorbol myristate acetateの存在下で,α1,α2遺伝子の発現比が高値を示す群と低値を示す群が存在し、IgA欠損症の病態の多様性が明らかになった。
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