研究課題/領域番号 |
18591190
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
脇口 宏 高知大学, 医学部, 教授 (10116519)
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研究分担者 |
前田 明彦 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (50335931)
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
藤枝 幹也 高知大学, 医学部, 准教授 (60209020)
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キーワード | EBウイルス / 感染症 / 遺伝子治療 / CTL活性 / サイトカイン |
研究概要 |
EBVNA1は全てのEBV感染細胞に表出される潜伏抗原で、EBV増幅に必須の遺伝子である。本研究は当研究グループが独自に作成したdnEBNA1が、EBV持続感染細胞からEBVゲノムの放逐させることの確認にある。すでに、dnEBNA1はEBV陽性B細胞株からEBV episomeを放逐すること、EBVを失った細胞は悪性度を喪失し、細胞死に陥ること、EBVゲノム放逐機序がwtEBNA1との競合に加え、wtEBNA1転写プロモーター(Qp)EBNA1合成を阻害することは報告した(Mol Ther 11(4):578-590,2005)。 本年度はdnEBNA1によるEBV感染T/NK細胞株に加え、上皮細胞株からのEBVゲノム脱落の過程を検討し、B細胞株と同様に増殖力を低下させるか否かを検討した。また、EBV特異的CTL活性をtetramer解析で分析した。 1)dnEBNA1をアデノウイルスベクターでEBV感染T/NK細胞株、上皮細胞株に導入したところ、導入数日以内に60〜80%の細胞からEBVゲノムが脱落した。 2)dnEBNA1導入でEBVゲノムが脱落した細胞株は親細胞に比して細胞倍加時間の延長、増殖力とコロニー形性能の低下が観察され、EBVゲノム脱落の影響はNK細胞株に最も顕著にみられ、細胞悪性度はT/NK細胞、上皮細胞もEBVの存在に依存していることを明らかにした。 3)EBV脱落T/NK細胞株では親細胞株に比してインターロイキン9産生能が著明に低下した。 4)EBV感染T/NK細胞はEBV特異的CTLの標的感受性はほとんど見られなかった。また、慢性活動性EBV感染症患者のEBV感染B細胞株に対するCTL活性は対照に比して著しく低下していた。 以上の成績から、EBV関連腫瘍の治療についてB細胞性リンパ腫だけでなく、T、NK細胞性リンパ腫についても有効な遺伝子治療用分子になる可能性が示された。
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