研究概要 |
小児白血病の治療成績は、予後因子による患者の層別化と化学療法の進歩、造血幹細胞移植術の導入などにより大きく改善した。しかし、依然として不幸な転帰をとる患児は多数存在し、小児白血病の治癒率はプラトーに達しつつある。本研究では、白血病患児の予後をさらに改善させるために、白血病患児に対する樹状細胞療法の可能性を検討し、新たな治療法を開発することを目的とする。そのために高い有効性を持つ樹状細胞療法を目的として、白血病抗原として細胞融解物またはアポトーシスに陥った白血病細胞を貪食させた場合、自血病細胞mRNAを導入した場合、白血病細胞由来樹状細胞を使用した場合の3者による免疫誘導能を解析する。平成18年度は特に白血病細胞を樹状細胞へと分化誘導することを試みた。 白血病患児より得られた白血病細胞をGM-CSF(1000U/ml), TNF-α(100U/ml), Flt-3 ligand(100ng/ml), IL-4(1000U/ml)の存在下で無血清培地にて2週間培養した。1週間に2回新鮮な培地と交換し、細胞形態を観察するとともに細胞表面マーカーの変化を検討した。急性骨髄性白血病M4、M5aでは、CD11c、CD80、CD83、CD86が陽性化し樹状細胞への分化が観察されたが、急性巨核芽急性白血病(M7)では、樹状細胞への分化は観察されなかった。さらに、患者末梢血のT細胞と白血病細胞融解液でパルスした樹状細胞または白血病細胞由来樹状細胞を共培養し、インターフェロン-γ産生性細胞の発現頻度を測定するとともに、患者由来の白血病細胞をターゲットとして患者白血病細胞におけるアポトーシスの発現頻度を測定することにより、in vitroにおける抗腫瘍免疫能を解析した。
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