研究課題/領域番号 |
18591191
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松崎 彰信 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90238999)
|
研究分担者 |
住江 愛子 大学病院, 大学病院, 助教 (80335968)
古賀 友紀 大学病院, 大学病院, 助教 (60398071)
|
キーワード | 樹状細胞 / 腫瘍抗原 / 小児 / 免疫療法 / 白血病 |
研究概要 |
小児白血病の治療成績は、予後因子による患者の層別化と化学療法の進歩、造血幹細胞移植術の導入などにより大きく改善した。しかし、依然として不幸な転帰をとる患児は多数存在し、小児白血病の治癒率はプラトーに達しつつある。本研究では、小児がんの中で最も頻度の高い白血病患児に対する樹状細胞療法の可能性を検討し、従来の治療法によって救命できなかった小児白血病患児に対する新たな治療法を開発することを目的とする。まず、高い有効性を持つ樹状細胞療法を開発するために、白血病細胞を樹状細胞へと分化誘導することを試みた。白血病患児より得られた白血病細胞をGM-CSF、TNF-α、Flt-3 ligand、IL-4の存在下で無血清培地にて2週間培養したところ、急性骨髄性白血病M4、M5aでは、CDllc、CD80、CD83、CD86が陽性化し樹状細胞への分化が観察され、白血病細胞由来の樹状細胞が直接細胞傷害性T細胞を誘導する可能性を見いだした。しかし、急性巨核芽急性白血病(M7)では、樹状細胞への分化は観察されなかった。一方、より有効な樹状細胞療法を可能とするために、樹状細胞を活性化することが知られているセンダイウイルスベクター利用の予備研究を開始した。すなわち、小児悪性腫瘍に対する、温度感受性非伝搬型組換えセンダイウイルスベクター(ts-rSeV/dF)により活性化された樹状細胞療法の臨床研究を実施するための前段階として、実際に小児悪性腫瘍の患児から採取した末梢血幹細胞から分化誘導した樹状細胞へts-rSeV/dFを作用させたところ、得られた樹状細胞は治療効果を期待できるレベルにまで活性化可能であるとの結果が得られつつある。
|