研究課題
基盤研究(C)
これまで、糸球体係蹄壁の蛋白透過を防ぐメインバリアは、糸球体基底膜と考えられてきた。しかし近年、糸球体上皮細胞がバリアとして重要な働きをしていることを示唆する多くの報告がされている。糸球体上皮細胞は高度に分化した細胞で、足突起を有する。足突起と足突起の間にはスリット膜と呼ばれる細胞間接着装置が存在し、アレブミンなどの血清蛋白の透過を防ぐバリアとして重要な働きをしていると考えられている。本研究では、小児特発性ネフローゼ症候群患者を対象に、最近発見された糸球体上皮細胞足突起間のスリット膜関連分子遺伝子、NPHS2遺伝子解析を行い、小児特発性ネフローゼ症候群における蛋白尿発症メカニズムを明らかることを目的とする。19年度は以下のことを実施した。1.対象発症時1歳から15歳の小児特発性ネフローゼ症候群患者71例。45例はステロイド感受性ネフローゼ症候群、26例がステロイド抵抗性ネフローゼ症候群であった2.遺伝子変異の解析ゲノムDNAを使用し、podocin遺伝子(NPHS2)の全エクソンを解析した。遺伝子解析の結果、疾患の原因と考えられる遺伝子異常は同定されなかった。またExon内に4個のsingle nucleotide polymorphism(SNP)(102G>A,288C>T,954T>C,1038A>G)を同定した。全てアミノ酸置換を伴わないSNPであった。SNPの頻度はステロイド感受性ネフローゼ症候群とステロイド抵抗性ネフローゼ症候群で有意差は認められなかった。また日本人正常コントロールとの比較でも有意差は認められなかった。3.結論本邦の特発性ネフローゼ症候群において、NPHS2遺伝子異常が関与しない可能姓が示唆された。
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