小児難治性白血病におけるアポトーシス抑制因子survivinの発現機構を解明している。survivinは正常細胞では発現せず、ほとんどのがん細胞で発現しているがん特異的発現蛋白でる。現在、小児急性リンパ性白血病(ALL)できわめて予後不良のt(17;19)白血病(t(17;19)^+ALL)について研究を続けている。t(17;19)^+ALLにおいてsurvivin発現が他のリンパ性白血病に比して著明に増加し、この発現がt(17;19)の結果生ずるE2A-HLF融合転写因子により調節され強発現することを証明してきた。 E2A-HLFとsurvivin発現機構の解明は小児白血病の難治化の重要な因子である可能性あり、その発現機構の解明を続けている。 survivinのアポトーシス抑制機構の解明を実施した。t(17;19)^+ALLにおいてsurvivinの高発現はcaspaseの非依存性のApoptosis Inducing Factor(AIF)のミトコンドリアより核内への移行を阻害することでアポトーシスを抑制するという知見を得ている。survivinのAIF核内移行の阻害という機構がアポトーシス抑制の主な機序であることを証明するためにAIFノックダウンを用いて実験を実施した。AIFのsh-RNAを作成し培養細胞のためウイルスベクターを用いて導入した。3つのクローンを作成し、AIFの発現を抑制するクローンを得た。survivinドミナントネガティブを導入したt(17;19)^+ALL細胞株にこのAIFノックダウンを導入した。現在、その表現型の確認中である。これによりE2A-HLF-survivn-AIFという機構が確立できると考えられる。
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