研究概要 |
肥満細胞は多能性造血細胞を起源とすることが明らかとなっているため、我々は,まずヒトES細胞から多能性造血細胞を分化誘導し,その分化誘導された多能性造血細胞から粘膜型肥満細胞を分化誘導することを試みた。 我々は,ヒトES細胞から効率良く多能性造血細胞を分化誘導するためには、胎生期の造血環境をin vitroで再構築することが有用ではないかと考えた。また、マウス由来のストローマ細胞の多くがヒト造血細胞にも作用することから、マウス胎仔の主たる造血臓器である肝臓からストローマ細胞を樹立し,ヒトES細胞をこのマウス胎仔肝ストローマ細胞と共培養した。 ヒトES細胞をマウス胎仔肝由来ストローマ細胞と共培養すると、培養10日目頃より多能性造血細胞(Mix-CFC:mixed lineage colony-forming cell)は産生された。そこで、培養14日目に採取されたMix-CFCを,SCF(stem cell factor)、FL(Flk2-ligand)、IL(interleukin)-3、IL-6、G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、TPO(thrombopoietin)等の種々のサイトカイン存在下で液体培養すると、赤血球系細胞、巨核球系細胞、顆粒球系細胞,肥満細胞等様々な血液細胞が産生された。特に,培養2週間後には、培養液中には多くの肥満細胞が出現したが、これらの肥満細胞の大部分はtryptase(+)chymase(-)のT型肥満細胞(粘膜型肥満細胞)であった。培養1ヶ月頃には、一部にはtryptase(+)chymase(+)のTC型肥満細胞(組織型肥満細胞)も認められた
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