研究課題/領域番号 |
18591218
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 和子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30294094)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (30263289)
荒堀 仁美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40379186)
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キーワード | 新生児低酸素性虚血性脳症 / プロスタグランジンD2 / 脳浮腫 |
研究概要 |
【背景】新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)の病態では、炎症反応が関与することが知られている。プロスタグランジン(PG)D2は脳内で最も多いPGで炎症作用を媒介する。今回我々は、HIEモデルマウスを作成し、HIEにおけるPGD2とその関連分子、すなわち、2種類の合成酵素(HPGDS,L-PGDS)と受容体(DP1)の役割を解析した 【方法】日令7の野生型C57BL/6J(WT)マウスの頸動脈を麻酔下に結紮した。その後、8%酸素に30分間暴露させ、低酸素解除10分後、1時間後、24時間後に安楽死させ脳を摘出した。 【昨年までの成果】レーザードプラー血流計の解析によりHPGDS-L-PGDSダブルKOマウスとDP1-KOマウスでは脳血流の低下が急激で、さらに前者では血流回復が遅延した。これらのマウスでは電子顕微鏡所見で1時間後の血管内皮の著明な変性、基底膜の剥離、血管周囲の浮腫を認めた。また大脳半球のWet volumeとDry volumeの測定によりこれらのKOマウスにおいて24時間後の高度の脳浮腫を呈することが確認された。 【平成19年度の結果】HPGDS-L-PGDSダブルKOマウスにDP1刺激剤を投与したところ病変が縮小する傾向が認められた。またDP1はアストログリアの活性化に伴って発現が誘導されることも本モデルの免疫染色において確認された。 【今後の課題】DP1刺激剤が血管内皮に対する直接作用により脳保護効果をもたらしているのか、あるいはアストログリアの活性化がニューロンの保護に関与しているかを培養実験において明らかにしていき、治療のターゲットを明確にしていく必要がある。
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