研究概要 |
皮膚B細胞リンパ腫の早期診断法を確立するため,特にリンパ濾胞構造を伴うものおよび皮膚B細胞性偽リンパ腫症例を比較して差異を同定することを目的に,両疾患の症例の選定,臨床学的及び病理組織学的検討,免疫組織化学的検索,症例の再分類を行った. 1.症例の準備および症例組織からのB細胞の培養 22例の皮膚B細胞リンパ腫および皮膚B細胞性偽リンパ腫症例のパラフィンブロックあるいは凍結検体を用意した.さらに当科通院中の10例の皮膚B細胞リンパ腫および皮膚B細胞性偽リンパ腫症例から通常のパラフィン切片,凍結切片を採取するとともに,生切片から腫瘍B細胞を抽出して継代培養を行った. 2.選定症例の臨床学的検討と病理組織学的検討および免疫組織化学による症例の浸潤細胞のphenotypeの検討 選定した32例症例の臨床経過(発症年齢,性,病期,予後)を詳細に検討し,またHE染色プレパラートを光学顕微鏡を用いて,病理組織学的に濾胞構造の様式,浸潤細胞の種類,周囲の正常組織の変化等について詳細に検討した.次に,浸潤細胞のphenotypeとその浸潤パターンをCD3,CD20,Bcl-6,CD10,MIB-1,kappa,lambda,Bcl-2,MUM-1を用いた免疫組織化学的手法で解析した. 3.症例の再診断およびグループ分け 2で得られた結果を基に症例の再診断を行い,さらにはリンパ腫はWHO/EORTCの皮膚リンパ腫の分類に基づいて分けた.また,偽リンパ腫も単発あるいは多発か,再発性か否か,濾胞構造を伴うものか否か,浸潤様式がtop heavyかbottom heavyかによってグループ分けを行った.その結果,10例が濾胞中心細胞性リンパ腫,9例が濾胞辺縁細胞性リンパ腫,8例が濾胞形成型偽リンパ腫,5例が非濾胞形成型偽リンパ腫と分類できた.
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