研究概要 |
皮膚B細胞リンパ腫の早期診断法を確立するために,皮膚B細胞リンパ腫,特にリンパ濾胞構造を伴うものおよび皮膚B細胞性偽リンパ腫症例において,体細胞超変異(somatic hypermutation)に関与する分子の発現を解析して2者間の差異を同定することを試みた。本年度は研究計画に基づいてhypersomatic hypermutation関連分子について免疫組織学的検索を施行した。蛍光抗体法、ならびに酵素抗体法を利用してリンパ腫と偽リンパ腫症例の間に発現強度に差が見られるものの検出を試みた。また検出された関連分子についてB細胞特異的か否かを確認するために,共焦点レーザー顕微鏡を用いてB細胞のマーカーとの二重染色を施行した。上記2者間において免疫組織学的な差が認められて、B細胞特異的である複数の分子を同定した。引き続き患者末梢血より、もしくはマイクロダイセクション法を用いて組織腫瘍細胞よりDNAを抽出し、これらの分子についての遺伝子変異検索を行った。現在のところ、すべてのエクソンを検索し得た分子についてはpolymorphism変異を認めるもののみであった。平成20年度はさらなる症例の蓄積と免疫組織学的な差として同定したすべての分子のすべてのエクソンに関して遺伝子変異検索を行って、リンパ腫か偽リンパ腫かを決定づける可能性のある体細胞超変異分子を同定する。また、この分子を用いて他の皮膚B細胞リンパ腫についても検討して早期診断法を確立する。
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