研究概要 |
本研究の目的である、皮膚B細胞リンパ腫の早期診断法を確立するために、皮膚B細胞リンパ腫、特にリンパ濾胞構造を伴うものおよび皮膚B細胞性偽リンパ腫症例において、体細胞超変異(somatic hypermutation)に関与する分子の発現を解析して2者間の差異を同定することを試みた。平成20年度は平成19年度に引き続き,hypersomatic hypermutation関連分子について免疫組織学的検索を行った。酵素抗体法(SAB法)を利用してリンパ腫と偽リンパ腫症例の間に発現強度に差が見られる分子の検出を試みた。また平成19年度と同様にB細胞に特異的にみられるか否かを確認するために、B細胞の特異的マーカーとの2重染色を施行して、共焦点レーザー顕微鏡にて確認を行った。結果、免疫組織学的に差が認が認められる複数の分子を同定することができた。さらに、これら差が認められた分子について遺伝子発現においても差が生じているか、分子生物学的検索によって解析を行った。免疫組織学的に差のある分子のうちの一つを遺伝子解析装置によって解析した結果、いくつかの変異を確認したが、全てpolymorphismであることを確認した。平成20年度ではリンパ腫か偽リンパ腫かを決定づける可能性のある分子の同定には至っていないが、免疫組織科学的検索から分子生物学的検索による確認の手法を確立することができた。また、さらなる症例の蓄積を進めることができた。
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