研究課題
基盤研究(C)
ヒト表皮細胞株であるHaCaT細胞からのCTACK産生、MEC産生機序について、シグナル伝達の面より比較検討した。TNFα、IL-1βによるCTACKはp38阻害剤およびNFκB阻害剤にてその産生が阻害され、p38とNFκBがその誘導に関与していることが示唆された。一方MECはERK阻害剤およびNFκB阻害剤により阻害され、ERKおよびNFκBによりその産生が誘導されていることが示唆されCTACK、MECは各々別々のシグナル伝達経路により産生が調節されていることが明らかとなった(Kagami S et al.,Exp Dermatol.2006)。TARCを表皮細胞に強制発現させたトランスジェニックマウスを作成した。このマウスでは、自然発症の皮膚炎は認められなかったが、FITCにより惹起される接触過敏反応がコントロールマウスに比べ増強していた。このことから、TARCは表皮細胞において、TH2タイプの接触過敏反応にポジティブに関与している可能性が考えられた(Tsunemi Y et al.,Euro J Immunol.2006)。尋常性乾癬においては、表皮細胞の著名な角質増殖と表皮肥厚、リンパ球および樹状細胞浸潤が認められ、これらの変化の原因のひとつとして、表皮細胞から産生されるケモカインが挙げられる。事実、尋常性乾癬患者において病変部表皮に、CTACK、TARCの過剰発現が報告されている。今回、尋常性乾癬病変部における樹状細胞の浸潤について免疫組織学的に検討した。尋常性乾癬病変部のすぐ外側の正常部(Peri-lesional skin)では、すでに活性化した樹状細胞の増数が認められた。表皮内のCD1a陽性ランゲルハンス細胞、真皮表皮境界部のCD83陽性CD1a陰性Langerin陰性CD11c陽性真皮樹状細胞は、Peri-lesional skinにおいても、病変内部と同等の数の細胞浸潤があるが、CD3陽性のTリンパ球は病変部に比べ顕著に少ないことが明らかとなった。さらに、peri-lesional skinでは、炎症性ケラチンK6、K16陽性ケラチノサイトが認められ、また正常ヒト表皮では通常顆粒層のみに発現の認められる、転写因子のひとつであるC/EBPβが病変部と同様に基底層から発現していた。尋常性乾癬病変部周囲の正常部では、活性化した樹状細胞の浸潤とケラチノサイトに炎症性の変化が認められることから、樹状細胞がケラチノサイトと何らかの相互作用を持つことにより、ケラチノサイトに炎症性の変化がもたらされる可能性があることが考えられた(Komine M et al,J Invest Dermatol in press)。
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