研究概要 |
B細胞の活性化を正に制御する因子であるCD19を欠損したマウスにおいて,DNFBおよびFITC塗布による接触過敏反応の検討をすすめた。CD19欠損マウスでは,免疫不全傾向を有し腹腔内B-1細胞が著明に減少しているにもかかわらず,野生型マウスに比べて接触過敏反応が亢進,延長していた。野生型マウスの脾臓からの辺縁帯B細胞を移入することにより,CD19欠損マウスでの接触過敏反応の亢進は抑制され,これは野生型マウスがDNFBに感作されていてもいなくても同じであった。すなわち,辺縁帯B細胞に"RegulatoryB細胞"が存在することが示され,その表現型はCD5陽性,CD1d陽性,CD21強発現,CD23低発現であった。以上のことから,CD19の制御するシグナル伝達系がRegulatory B細胞の分化に必要であり,CD19の制御するシグナル伝達系を強めることによって,接触過敏反応をはじめとするIV型アレルギーの治療の抑制が可能と考えられた。 次に全身性エリテマトーデスのモデルであるNZB/NZW F1マウスにおいてもCD19の病態への関与を検討した。CD19を欠損したNZB/NZW F1マウスでは,Regulatory B細胞は欠損しており,これを補充することにより,症状および生存期間の有意な改善が認められ,全身性自己免疫疾患に置いても有望な治療法となりうる可能性が示された。 また,BAFFを介したB細胞の自己免疫疾患における線維化機序への関与を検討するために,TSKマウスにおいて抗BAFF抗体投与による症状の改善について検討した。抗BAFF抗体によりマウス皮膚の線維化は有意に抑制された。
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