研究概要 |
1)マスト細胞特異的なサイトカイン遺伝子発現を目的として、マスト細胞特異的に発現するプロモーターにIL-4の遺伝子をつないだDNAを受精卵に注射しトランスジェニックマウスを作成し遺伝子発現と表現形の変化を観察した。しかし、大多数のマウスには遺伝子発現を認めず、一部に見いだされた皮膚炎を有するマウスでは今回導入したIL-4DNAの発現が確認できず、今回用いたマスト細胞特異的プロモーターではマスト細胞特異的IL-4遺伝子発現マウス系統の樹立は困難と判明した。 2)変異型IL-4のDNAワクチンによる遺伝子発現とその免疫学的効果を得ることを目標とした。ハプテン連続塗布によるTh2型慢性皮膚炎マウスモデルを作成した。IL-4シグナルを抑制するドミナントネガティブ変異型IL-4(smIL-4),IL-4/IL-13両シグナルを抑制するドミナントネガティブ変異型IL-4(dmIL-4)およびアゴニストとしてIL-4DNAのDNAワクチンを作成し、注射にてこのモデルに投与し、効果を検討した。dmIL-4DNA投与によりマウスの皮膚炎症が抑制されるとともに、IFN-γ産生の増加が観察され、その有効性が期待できる結果が得られた。 3)アトピー性皮膚炎モデルマウスの病状の評価には掻破行動の定量的測定が不可欠であるが、従来法では多大な労力を要し、再現性が低い問題があった。そこで、マウスの掻破音を音声解析することにより定量的な測定法を開発した。さらに、抗アレルギー薬の掻痒に対する有効性を本法により確認した。 4)アトピー性皮膚炎の発症におけるマスト細胞機能の解明のため、マスト細胞由来酵素を検索し、マスト細胞キマーゼがIL-4を誘導する上流のサイトカインIL-18の活性化酵素として働きアトピー性皮膚炎発症に関与することを解明した。
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