研究概要 |
表皮角化細胞のMAPキナーゼ(MAPK)活性化は表皮角化細胞増殖において重要な役割をになっている。前年度にアメリカのP.khavari博士の研究室よりタモキシフェン存在化にMAPKのシグナルカスケードの上流にあるRaf-1を表皮特異的に発現することができるトランスジェニックマウスを輸入した。このマウスは皮膚表面にタモキシフェンを塗布することによりRaf-1を皮膚に発現させると、表皮の肥厚と炎症細胞浸潤が起こり、乾癬の病態に類似するという特徴を持っている。この現象がMAPK及びそれに関連したシグナルの抑制因子により抑制されるかどうかをMAPKシグナル及びその関連因子の抑制因子であるPD98059,genistein,LY294002,apigenin SB202190,SB203580を用いてタモキシフェンと同時に塗布し、乾癬用の表皮の肥厚が抑制されるかどうかを観察したが抑制されなかった。次にタモキシフェンとステロイド外用剤を同時に投与したところ組織学的に炎症細胞の浸潤が抑制され、表皮の肥厚も少し抑制された。この皮膚の病態を調べるため、タモキシフェンを塗布した皮膚より蛋白質を採取し、そのサイトカインの変化を調べたところ、マウスにタモキシフェンを塗布して、マウス表皮にRaf-1を発現させることによってIL-18,MCP-1蛋白が上昇が認められた。また、皮膚所属リンパ節のT cellはinterferon gammaとIL-17が刺激により上昇し、乾癬病変におけるサイトカインの変化に酷似していることが確認された。
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