1.培養ヒト正常表皮角化細胞にREIC/Dkk-3を発現するアデノウイルスベクター(Ad-REIC)を感染させ発現が変化する遺伝子をスクリーニングしたところ、免疫機能の調節に重要な役割を果たすサイトカインの発現が誘導されることが分かった。このサイトカイン誘導により個体の免疫機能の亢進することが認められ、REIC/Dkk-3が生体での防護機構に関与する可能性が示唆された。 2.REIC/Dkk-3を強制発現すると腫瘍特異的にアポトーシスが誘導される。この機構を探るため、Ad-REICに高感受性のがん細胞株をスクリーニングし、マウス腎がん細胞株RENCAを同定した。この細胞株と正常線維芽細胞であるNIH3T3を比較することにより、Ad-REICによる腫瘍特異的アポトーシス誘導にHsp70/72が防護的に働き、それが腫瘍特異的アポトーシス誘導の一因であることを明らかにした。 3.Ad-REICに感受性がある前立腺がん細胞株PC3に低濃度でAd-REICを感染させながら長期間培養し、耐性細胞を得た。この細胞を用いてPC3親株と比較するためマイクロアレイによる発現解析を行ったが、結果は現在解析中である。また耐性の鍵となるシグナル伝達経路を同定し、詳細な解析を行った。 4.前年度に開発した方法によりヒト正常線維芽細胞からREIC/Dkk-3タンパク質を培養実験に使用できる純度で精製した。 5.REIC/Dkk-3のノックアウトマウスを作成中である。当該遺伝子をノックアウトしたマウスES細胞を既に得て、現在個体を作成中である。
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