研究課題/領域番号 |
18591250
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
米田 耕造 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (60260626)
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研究分担者 |
窪田 泰夫 香川大学, 医学部, 教授 (10126047)
中井 浩三 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40363204)
荒木 伸一 香川大学, 医学部, 教授 (10202748)
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キーワード | ロリクリン / 遺伝子皮膚角化異常症 / シグナル伝達 |
研究概要 |
魚鱗癬と掌蹠角化症が合併したボーウインケル症候群は、辺縁帯の主成分であるロリクリンをコードする遺伝子に1塩基の挿入変異が生じ、遺伝子の読み枠がずれることによって生じる。変異ロリクリンでは、ロリクリンのカルボキシル末端がアルギニンに富む特殊なアミノ酸配列に変わる。以前われわれは、一時的トランスフェクションの系を用いて、ボーウインケル症候群で見られる錯角化・角質肥厚はカスパーゼ3の活性化とそれに引き続いておこるCaspase-activated deoxyribonuclease(CAD)の核内移行と活性化という過程に障害が生じている可能性を報告してきた。しかしこの系では、トランスフェクションの効率が低いため、上記以上の詳細な解析が困難であった。そこでわれわれは、この問題を回避する目的で、エクジソン誘導発現系を用いて、ボーウインケル症候群モデル細胞の樹立を行った。このボーウインケル症候群モデル細胞は、野生型ロリクリンを発現する細胞株をWL-1変異ロリクリンを発現する細胞株をVL-5細胞と命名した。培地にエクジソンを添加すると、それぞれ野生型および変異ロリクリンを発現した。野生型ロリクリンは細胞質および核内に発現しており、変異ロリクリンは核小体にその発現が観察された。かつ野生型ロリクリンと変異ロリクリンの発現量は培地中に添加したエクジソン量に依存していた。VL-5細胞はWL-1細胞に比較して増殖が活発であった。VL-5細胞では、WL-1細胞に比して、EGF受容体およびVEGF受容体2が強くリン酸化されていた。かつVL-5細胞では、WL-1細胞に比して、Aktが強くリン酸化されていた。VL-5細胞のAktの活性はWL-1細胞の約10倍の活性があった。また、リン酸化されたAktは、VL-5細胞の核小体に局在していた。VL-5細胞では、Erk1/2のリン酸化も見られた。しかし、p38MAP kinase、SAPK/JNKのリン酸化は、野生型ロリクリンを発現する細胞株においてもVL-5細胞でも生じていなかった。
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