研究概要 |
Peptidylarginine deiminase(PADと略す)は、カルシウムイオン依存的にアルギニン残基をシルリン残基に変換する酵素である。ヒト表皮・毛嚢にはPAD1,2,3が発現し、角質化に関係るタンパク質を標的としていることから、これらのPADは表皮・毛嚢組織の角質化において重要役割を担っているものと推測されている。我々は、これらのヒト表皮・毛嚢組織に発現するPAD発現調節機構を解明することを目指した研究を行っている。本年度はPAD3遺伝子の基本発現調節構について研究を行った。その結果、PAD3遺伝子は転写開始点から約20bp上流にTATA-boxをし、2つタンデムに繋がるCCAAT-boxとGC-boxが機能的cis領域であることが判った。ついで、れらの領域にTDFII,NF-Y,Sp1/Sp3の基本転写因子が結合することをゲルシフト、転写因子特異抗体を用いたスーパゲルシフトアッセイで明らかにした。また、実際に核内においてこれらの転因子がPAD3遺伝子のcis領域に結合していることやどのような転写調節を担っているかを明らかにするため、これらの転写因子に対する特異抗体を用いたクロマチン免疫沈降アッセイを行ったその結果、これらの転写因子抗体はそれぞれPAD3遺伝子のcis領域を沈降させること、併せてPAD遺伝子の基本的な転写はSp1の結合で正のSp3の結合で負に調節されていることを見出した。さらに、それぞれの因子の生合成をsiRNAの培養細胞への導入により阻害した結果、PAD3遺伝子の現にはNF-Yのcis領域への結合が重要であることやSp1とSp3の量比でもって基本的な発現調節がなされていることを証明することができた。
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