研究課題
基盤研究(C)
マイクロRNA(miRNA)は複数の遺伝子の発現調節の鍵を握る機能分子であり、未知の疾患病態を解明する手がかりとして、その重要性が明らかにされつつある。これまで表皮角化細胞の終末分化機構に関わるシグナル伝達系や機能遺伝子の解明は進んだが、表皮細胞系列の維持機構や表皮の発生・成熟、増殖・分化のマスタースイッチについては未だ明らかではない。本研究では、表皮の増殖・分化に関わるmiRNAを同定することにより、表皮角化細胞系列の機能維持機構の解明に寄与することを目的として研究を進めている。本年度は、ヒト表皮角化細胞を培養し、Ca誘導により発現の変化するmiRNAをマイクロアレイにより解析した。Ca存在下、非存在下に培養した角化細胞からそれぞれ全RNAを抽出し、その品質をコスモアイにより検討後、蛍光標識プローブを作製し、ヒトmiRNAマイクロアレイに対してハイブリダイゼーションを行った。その結果、hsa-let7bなどを含め、複数のmiRNAの変動を認めた。さらに、これらmiRNAの前駆体あるいはインヒビターのトランスフェクションにより、実際に、培養角化細胞の形態、増殖異常を示唆する変化が認められた。現在、これらをトランスフェクションした角化細胞における角化関連マーカーの発現解析を行っており、特定のmiRNAが表皮角化細胞の増殖・分化に及ぼす;機能解析を進めている。次年度には、これらmiRNAに対するジゴキシゲニン標識アンチセンスプローブを作製し、マウスの表皮発生過程におけるそれぞれのmiRNAの発現を解析し、機能的に重要と想定されるmiRNAを検出する予定である。
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