研究課題
基盤研究(C)
好酸球浸潤を起こす光線過敏型薬疹のモデル作製を試みた。薬剤としてはアフロクァロン(AQ)を用い、これを全身投与し紫外線A(UVA)照射する処理を繰り返すことによりマウスを感作し、惹起は薬剤溶液の皮下投与と同部へのUVA照射をする方法をとった。この方法により,好酸球が密に浸潤する光線過敏型薬疹の誘導に成功した.腹部剃毛した7週齢AKR/JマウスにAQを腹腔内投与し2時間後にUVAを腹部に照射した。この操作を週2回ずつ行い感作した。感作後のマウス剃毛腹部にAQを皮下投与し、同部にUVAを照射し惹起を行い、2日後に同部皮膚を採取し、組織学的変化を観察した。10回感作後より真皮及び皮下組織に顕著なリンパ球・好酸球浸潤がみられた。感作の成立には薬剤とUVA両方が必要であり、抗原特異的であった。BALB/cマウスではこの反応は得られず、系統差が存在した。感作したマウスのリンパ節及び脾細胞を採取し、全細胞あるいはCD4陽性細胞を未処置マウスに移入し、惹起を行ったところ、同様な好酸球を伴う浸潤が認められた。感作リンパ節細胞はIL-4とIL-5を多く産生していた。以上より、好酸球浸潤性光線過敏症のマウスモデルを確立し、その過敏症の成立にTh2細胞が関与していることを示した。このマウスモデルは皮膚で生成した光ハプテンを蛋白の共有結合物が、T細胞によって認識され、好酸球に対するケモカイン産生を誘導することを示唆した。今後はこのケモカインという点からさらに解析を行い、皮膚炎と好酸球浸潤との関わりという観点からも研究を進めたい。
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