研究課題
基盤研究(C)
背景自閉性障害の病態発生メカニズムには、遺伝や環境、神経学的因子、免疫学的因子が関与していると考えられているが、その原因は未だに明らかにされていない。最近の自閉性障害の死後脳研究では、大脳皮質、白質、小脳において活発な神経炎症が起きていることが示されたが、生きたヒト脳内での神経炎症の有無は今まで確認されていない。そこで、われわれは神経炎症の指標となる脳内活性型ミクログリアをPETにより測定し、生きた自閉症脳内における神経炎症の有無またはその程度を検証した。方法12例の自閉性障害患者と、年齢、性別をマッチさせた健常者を対象とした。PETスキャンには浜松ホトニクス社製頭部専用PETスキャナSHR12000を用いた。トレーサーには活性型ミクログリアを標識する[^<11>C]PK11195を用いた。トレーサー静注後,62分間のダイナミックスキャンを行った。PET解析にはsimplified reference tissue modelを用い、[^<11>C]PK11195の結合能を算出した。また、parametric画像を作成し、Statistical Parametric Mapping(SPM)による解析を行った。結果閉性障害患者は健常者と比べ、脳幹部、小脳、視床、前頭葉など脳の広範な領域で[^<11>C]PK11195の高い結合能を示した。SPM解析により、自閉性障害患者ではとくに脳幹、視床で[^<11>C]PK11195が高い結合能を示すことが明らかとなった。結論自閉性障害患者は脳内の広範な領域でミクログリアが活性化している。とくに脳幹、視床で活発な神経炎症が起きている。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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