研究課題
神経原線維変化の主要構成成分であるタウ蛋白は自己重合(自己線維化)の過程を通して蓄積するが、14-3-3蛋白を含むタウ蛋白結合因子はこの自己重合を促進させることが知られている。我々は今までに、PKAまたはPKBによってリン酸化されたタウ蛋白は非リン酸化タウ蛋白よりも14-3-3蛋白に高親和性になること、リン酸化依存性に結合する部位はタウ蛋白上のSer214であること、このリン酸化によって自己重合は抑制されることを明らかにしてきた。遺伝性前頭側頭型認知症FTDP-17の原因となるタウ蛋白上の変異が14-3-3蛋白との結合や自己重合にどのように関与するか明らかにするために検討をおこなった。FTDP-17変異の1つであるP301L変異を組み込んだタウ蛋白は正常型タウ蛋白に比べて、14-3-3蛋白に高親和性になり、さらに自己重合も促進されていた。タウ蛋白がリン酸化されていない状況では、結合部位はタウ蛋白上の微小管結合ドメインであった。しかし、PKAまたはPKBによりリン酸化されると正常型タウ蛋白と変異型タウ蛋白の両方は同じ程度にまで親和性が亢進し、自己重合は抑制された。これらのことは、1)タウ蛋白と14-3-3蛋白との結合には2つの様式があり、リン酸化に依存しない様式では微小管結合領域に結合し、リン酸化を介した結合様式ではリン酸化したSer214部位に結合すること、2)微小管結合ドメインを介する結合のみが自己重合促進的でありリン酸化したSer214部位に結合は抑制的になること、3)FTDP-17変異は14-3-3蛋白を介する自己重合においても促進的にはたらくことが明らかになった。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Int Psychogeriatr. 19
ページ: 391-400
Hum Mol Genet 16
ページ: 15-23
Mol Cell Biol 28
ページ: 165-176