研究課題
抗炎症剤であるibuprofenがアルツハイマー病モデル動物であるAPPトランスジェニックマウスのアミロイド病理を抑制する。研究者らはこれまでこのメカニズムを明らかにして論文発表してきた(T Morihara J Neurochem. 2002、T Morihara Neuropsychopharmacology2005など)。本研究ではibuprofenの抗炎症作用が、マイクログリアの好ましい作用までも阻害していないか調べた。活性型マイクログリアはアミロイドの除去を行っている。In vivo(APPトランスジェニックマウス)では、抗炎症作用が出現すると想定される濃度以上の抗炎症剤でもマイクログリアの活性マーカー(CD68,CD11b、CD11c)は抑制されていなかった。In vitroでも抗炎症剤はマイクログリア初代培養細胞の活性マーカーを抑制することなく、PGE2産生を抑制することで抗炎症作用を発揮していた。以上より抗炎症剤ibuprofenはマイクログリアのアミロイドクリアランスという好ましい作用を阻害することなく、有害な抗炎症作用やアミロイド促進因子である炎症関連分子a1-antichymotrypsinを抑制が可能であることが支持された。この知見は、高価なアルツハイマー病治療薬としての抗炎症剤の臨床治験を合理的にデザインする上で有用である。また別の新規治療法として開発中のワクチン療法と抗炎症剤の併用が可能であることも支持する。
すべて 2007
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ページ: 14299-14307
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ページ: 2485-2498