研究概要 |
課題:PTSDモテルフットを用いた恐怖記憶の固定化亢進のメカニズムの研究 PTSD (posttraumatic stress disorder)の態形成において、恐怖記憶の固定化の亢進が深く関わっている可能性が提唱されており、その脳内機序について解析を行った。 行動実験: PTSD動物モデルであるSPS (sinle roloned stress)負荷ラットに、恐怖条件付け試験(CFT)(条件付け刺激:フットショックケージ、非条件付け刺激:フットショック)を行い、非SPS負荷ラットとCFT24時間後ですくみ行動を計測した結果、SPS群のすくみ時間は有意に延長していた。 分子生物学的実験:非SPS群・非SPS+CFT群・SPS群・SPS+CFT群を対象に、CFTのフットシヨック暴露後2時間の時点で、記憶の固定化に関与しているBDNF(brain-derived neurotrohic factor)の発現を海馬にてreal-time PCR法を用いて解析した。その結果、total BDNF及びBDNF exon1,2,3mRNAの発現が,SPS+CFT群で有意に亢進していた。BDNF mRNA発現の亢進機序を解明する目的でクロマチン免疫沈降法を行ったところ、SPS+CFTラットでBDNF遺伝子のexon1,2,3のromoterでhistone3,4のアセチル化が有意に亢進していることが判明した。 このような結果は、PTSDの病態機序の一つと考えられている記憶の固定化の亢進に、海馬のBDNF遺伝子発現の亢進が密接に関与していることを示している。そしてBDNF遺伝子現の機序には、exon上流のpromoter領域のhistoneアセチル化の亢進というエピジェネティックな変化の関与していることも分かった。
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