研究課題/領域番号 |
18591292
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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研究分担者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
松本 由樹 香川大学, 医学部, 助教 (90335844)
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80263911)
今川 智敬 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20232605)
横山 俊史 神戸大学, 農学研究科, 助教 (10380156)
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キーワード | アルコール曝露 / ノッチシグナル / 遺伝子発現 / 神経回路綱形成 / 神経機能 / 精神障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、アルコール曝露による脳組織構築異常とノッチシグナルとの相関を明確にするために、クロマチンレベル、遺伝子発現レベル、転写調節レベルでの解析へ発展させ、培養系における神経やグリア細胞の発生および分化に着眼した解析を行っている。これまでに、神経回路網形成への影響を明確にするためには、神経細胞膜、軸索輸送、シナプス輸送の変化を最重要課題であると定義できた。そこで今年度は、神経ネットワーク構築に関わるノッチシグナル伝達系の機能的役割およびシナプス膜形成への影響を同定することにより、精神神経機能障害発症メカニズムの解明に着眼した解析を行った。神経細胞膜(シナプス膜)領域における機能性を明確にする予備実験の結果では、順行性軸索輸送により細胞体から神経終末へ移動する神経トレーサーの形態に着眼した。この終末部では、神経細胞の環境により、シナプス小胞よりはるかに巨大なタンパクが一塊となりシナプス輸送されている像を同定でき、このタンパク輸送には異なるタイプの形態変化として分類できた。神経細胞の機能的解析結果からは、神経伝達物質が放出されていない非興奮期に一致してタンパク輸送が行われること可能性を示唆できた。このことは、シナプス輸送の抑制環境下において高頻度で出現したことから支持される現象と考えている。アルコール曝露では、このタンパク輸送は抑制傾向にあり、今後、軸索輸送やシナプス膜の形状、さらに細胞骨格との関連性を究明をすることが必要であるとの結論に至った。最後に、神経回路網の形成過程に与える影響は、神経細胞膜、軸索輸送、シナプス輸送における変化に関する研究も重要であり、この点において、タンパクのシナプス輸送の研究はアルコールによる精神疾患発症メカニズムの解明に寄与するものである。これらの成果は、2009年国際誌上及び、2010年日本解剖学会第115回全国大会において報告を行った。
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