研究課題
基盤研究(C)
【目的】長崎大学精神神経科学教室では1978年からWHOの共同研究の一つとして、初発統合失調症患者における転帰研究を行っている。今回我々はその継続的研究として、昨年度より超長期経過と転帰について調査を行った。【方法】対象は、1979年から2年間に発病した統合失調症事例(107例)である。発病率調査のために設定された長崎市内及び近郊の30の病院、医院、保健所などの施設(Case Finding Network)を中心に、協力依頼施設にて追跡を行った。各主治医に研究の趣旨や方法を説明し、承諾が得られた場合対象者に接触した。対象者・家族に研究の趣旨を説明し同意が得られた事例について、調査を行った。評価項目としてPANSS、SANS、Mini-ICF-Rating for Mental Disorders(Mini-ICF-P)、DAS、LCS、KAS、WHOQOL-26、バウムテスト、GAF、GAS、CGI等を用いた。Mini-ICF-PはWHOが発表したICFをもとにしてLinden M(2005)によって開発された新しい評価尺度である。この調査はヘルシンキ宣言の主旨に沿った倫理的配慮の下、十分なインフォームド・コンセントを得た上で、プライバシーに関する守秘義務の遵守と匿名性の保持に十分な配慮をして行った。本研究は長崎大学医学部倫理委員会で承認されている。【結果】現在、調査は進行中であるが、17例(男性6例、女性11例)の面接調査を行った。9例の死亡が確認された。そのうち6例が自殺であった。その他生存確認例が3例であった。【結論】DUPの長短が超長期の症候学的転帰に影響を及ぼすことが確認された。またMini-ICF-PとDASの間に有意な正の相関が認められた。今後、社会適応度評価の新たなアセスメントツールとしてini-ICF-Pの有用性が示唆された。
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