研究課題
この度の当該研究ではまず母仔分離操作を受けたラットは拘束ストレス直後、脳内の抗酸化能が顕著に低下していることを示すことができた。このことは幼若期における養育環境が劣悪であると、既報のGABA抑制ばかりでなく成熟後後に遭遇する酸化ストレス(ここでは拘束ストレス)に対して脆弱性を示し、レドックスが容易に酸化シフトを起こすことを意味している。さらに、てんかん性病態の一モデルであるキンドリング形成も母仔分離群で著しく容易に完成した。この点も、酸化ストレスへの脆弱性とともに、幼若期の劣悪な養育環境が成熟後における脱分極の容易な暴走を許すことを裏付けるものである。ヒト疫学調査上では、すでに劣悪な養育環境(両親の離婚・虐待・希薄な親子関係)が、うつ病・不安障害に影響することが危惧されている。中には、てんかん発症との因果を報告したものも散見されるが、心理的ストレス負荷よりも、虐待起因性の頭部外傷に説明を求める報告が多く、幼児期の心理ストレスをてんかん起因とするTeicherらの報告があるもののごく少数に限られている。本研究では、幼児期の不遇な心理的養育環境が成長後に易痙攣性やてんかん原性の早期獲得に結びつくことを示した。てんかんと心理的養育環境の因果関係の存在を深める結果となった。今後は、ヒト疫学調査上での多因子解析が望まれる。
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