アミロイドβ(Aβ)は凝集しアルツハイマー病(AD)の病理学的特徴である老人斑を形成する事が知られている。そして現在のところADの原因はAβの産生過剰とその凝集過程による神経細胞毒性であろうと考えられている。さらにその凝集過程でも特にフリーラジカル産生が問題だと考えられている。そしてその産生能は比較的初期の段階、つまりペプチド自体がオリゴマーの状態(ダイマー、トリマー、テトラマー、ヘキサマー等)で産生するのではないかと予想されている。そこでAβモノマーを使用し光反応を利用した方法を用い重合させ人工的にオリゴマーを作製しそれらのフリーラジカル産生能について検討した。重合させたオリゴマー溶液中からゲルろ過カラムを使用してモノマー、ダイマー、トリマーを分離した。それらオリゴマーを恒温槽内でインキュベートし、凝集過程で産生される(ヒドロキシルラジカルから産生されると考えられる)過酸化水素の産生量を計測した。その結果オリゴマーの増大と共に過酸化水素の産生は増加傾向にあるが明らかな有意差は示さなかった。培養細胞を用いてそれぞれのオリゴマーによる細胞毒性を検討したがフリーラジカル産生の結果と同様有為差は示さなかった。今後はさらに大きなオリゴマーについて作製し同様の検討を行うと同時に、生体内(髄液、血液、大脳内)に存在する神経細胞毒性の高いオリゴマーを抗オリゴマー抗体(ダイマー、トリマー、テトラマー、ヘキサマーなど)を作製し利用して探求していく方法も必要ではないかと考えた。
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