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2007 年度 実績報告書

摂食障害の病態解析-低栄養がひきおこす脳神経回路網障害と嗜癖行動の関連性-

研究課題

研究課題/領域番号 18591302
研究機関札幌医科大学

研究代表者

齋藤 諭  札幌医科大学, 医学部, 助教 (30295357)

研究分担者 池田 官司  北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (30232193)
橋本 恵理  札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30301401)
鵜飼 渉  札幌医科大学, 医学部, 講師 (40381256)
キーワード摂食障害 / 神経栄養因子 / BDNF / BMI
研究概要

摂食障害患者(神経性無食欲症;AN,神経性大食症;BN)では血清BDNF値が健常者に比べて有意に減少しており、BMIとBDNF値に有意な正の相関があることが報告され、記憶・認知機能との関連が深いBDNFの異常と摂食障害の病態との関連が考察されている。そのため、BDNF値の改善は、治療経過に重要な影響を及ぼすと考え、今回我々は,摂食障害患者の末梢血のBDNFを経時的に測定し、その濃度変動が患者の治療経過と、どのように関わるかについて検討を行った。
対象は、札幌医科大学附属病院神経精神科摂食障害専門外来を受診し、DSM-IVによる摂食障害の診断基準を満たした症例のうち、食行動の改善目的に入院加療(行動制限療法)となった7症例[AN5名,BN2名,年齢:29.3±11.6才(17-47)]である。
患者7名のBMIと血清BDNF値の間には、入院直後・退院直前ともに有意な相関は認めなかった。BN患者2名では過食嘔吐の頻度は減少したものの、体重にはほとんど変化は認めなかった。AN患者5名では治療中断例を含め全例で体重の増加を認め、入院直後のBody Mass Index(BMI)は平均12.7±2.0から退院直前には14.5±1.3と回復を認めた。血清BDNF値に関しては、平均14.2±6.9ng/mlから19.4±6.5ng/mlと上昇したが、有意差は認めなかった。AN患者5名の入院期間中の、BMIの変動率とBDNFの変動率の間に有意な正の相関を認めた(r=0.884,p<0.05)。本研究では、入院治療中にBMI値の有意な増加を認めたAN患者群で、血清BDNF値の増加傾向を認めたが,その変化は有意なものではなかった。しかしながら、同患者群のBMI値とBDNFの変動率は有意な正の相関を示したことから、摂食障害の回復の過程にBDNFの増加が何らかに意味があることが推察された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アルコール使用障害とうつ病の併存(comobidity)2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤 諭
    • 雑誌名

      クリニカ 34

      ページ: 14-16

  • [雑誌論文] Neural stem cell transplantation in a model of fetal alcohol effects2007

    • 著者名/発表者名
      Yoshinaga T
    • 雑誌名

      J Neural Transm Suppl 72

      ページ: 331-337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 抗うつ薬の作用機序に関する新たな視点での考察2007

    • 著者名/発表者名
      今井智之
    • 雑誌名

      分子精神医学 7

      ページ: 77-79

  • [学会発表] 摂食障害の治療経過と血清脳由来神経栄養因子の濃度変化との関連について2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤 諭
    • 学会等名
      第17回日本臨床精神神経薬理学会
    • 発表場所
      大阪国際交流センター
    • 年月日
      2007-10-05
  • [図書] SSRIのすべて 軽症うつ病とSSRIの効果2007

    • 著者名/発表者名
      橋本 恵理
    • 総ページ数
      78-83
    • 出版者
      先端医学社

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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