研究分担者 |
松井 宏晃 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90181685)
山田 光彦 国立精神・神経センター, 精神保研究所, 部長 (60240040)
喜田 聡 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (80301547)
金子 律子 東洋大学, 生命科学部, 教授 (00161183)
加藤 智啓 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (80233807)
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研究概要 |
抗うつ薬の作用を受容体だけで説明しようと試みる現在までの仮説では、抗うつ薬の作用機序を説明できない。そこで受容体以外にも抗うつ薬が作用する可能性があるかをプロテオミクス的手法を用い網羅的に検索し、分子生物学的方法を用いin vivoで抗うつ薬と結合するかを確認することを本研究の目的とする。 アミド基を構造中にもつ抗うつ薬であるSNRIであるミルナシプランのアミド基をアフィニティーカラムに結合させ、ラット大脳のホモジェナイズした細胞質成分のサンプルを添加し、薬物に蛋白質を結合させる。高度濃度のアフィニティーカラムに結合させた薬物を添加し、分離抽出した蛋白質をCy3蛍光標識する。抗うつ薬を結合させていない対照のアフィニティーカラムからの抽出蛋白質をCy5で蛍光標識し、両サンプルを混合後、一枚の二次元電気泳動ゲルを施行する。蛋白質の検出には、2D解析システム・バリアブル・イメージアラナイザーを用いる。この方法でミルナシプラン結合蛋白質を同定した。 さらに、ミルナシプランのアミド基に結合させる蛍光物質として、4-Fluoro-7-nitro-2,1,3-benzoxadiazole(NBD-F)がある。NBD-Fが結合した抗うつ薬は、nM単位の感度まで測定できる。GFPを付けた抗うつ薬結合蛋白質DNAをPC12細胞に導入後、蛍光物質NBD・Fを結合させた抗うつ薬をPC12細胞に投与し共焦点顕微鏡にて蛍光タンパク質の励起光と発光の波長が色により重なることを利用した蛍光共鳴エネルギー移動法(Fluorescent Resonance Energy Transfer FRET)を用いて観察することで、培養細胞内で結合蛋白質と抗うつ薬が結合し共存すれば、同じ位置での蛍光を観察できる。シアンに発色するCFPは発光波長が475-501nmで、これと重なる488-513nmに励起波長を有するのが黄色に発色するYFPである。つまり、それぞれの蛍光タンパク質が接近することで、CFPの励起波長によるYFPの発光が観察できるようになる。現在、CFPとYFPが共存する場合にFRETを用い励起波長の変化を確認でき、さらにacceptor photobleachingにより励起波長の変化が共存により起こっているかの確認をした。
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