研究概要 |
今回の研究は統合失調症患者群と正常対象群のDNA試料を用いて、Th1、Th2、Th3サイトカイン単塩基多型解析であり、統合失調症の多因子遺伝仮説を検証することが目的である。 本年度はDSM-IVで統合失調症と診断され、大阪医科大学精神神経科およびその関連の単科精神病院に外来通院もしくは入院しているもののうち研究の内容を理解した上で、研究への同意を得られた患者193名と、年齢、性をマッチさせた本人及び二親等内に精神疾患の既往のない健常者123名(正常対照群)から血液10mlを採取し、全血からDNAを精製した。 サンプルの収集と遺伝子多型解析を同時に行っており、上記対象におけるTh1サイトカインIL-2遺伝子多型(rs2069762)とTh2サイトカインIL-4遺伝子多型(rs2243250)について解析した結果を報告する。 IL-2遺伝子多型(rs2069762)は統合失調症患者群190人においてGG, GT, TT genotypeがそれぞれ21,99,70人であり、正常対照群123人においてそれぞれ18,55,50人であり、差を認めなかった(P=0.40)。IL-4遺伝子多型(rs2243250)は統合失調症患者群175人においてTT, TC, TT genotypeがそれぞれ77,78,20人であり、正常対照群123人においてそれぞれ61,48,14人であり、差を認めなかった(P=0.76)。 現在Th3サイトカインTGF-beta1遺伝子多型(rs4803455,rs2241716,rs1800469について解析を進めている。
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