今回の研究では統合失調症患者群と非定型精神病患者群と正常対象群のDNA試料を用いてTh1、Th2、Th3、サイトカイン遺伝子多型解析を行なった。 統合失調症または非定精神病と診断され、大阪医科大学精神神経科およびその関連の単科精神病院に外来通院もしくは入院しているもののうち研究の内容を理解した上で、研究の同意が得られた統合失調症患者193名と非定精神病患者69名と年齢、性を適合させた正常対照群123名から血液を採取して、DNAを精製し、遺伝子多型解析を行った。 解析の結果、Th1サイトカインであるIL-2のrs2069762多型、Th2サイトカインであるIL-4のrs2243250多型、Th3サイトカインであるTGF-betalのrs4803455多型とrs2241716多型については統合失調症群、非定型精神病群、正常対照群の間に差を認めなかった。TGF-betalのrs1800469多型については統合失調症群と正常対照群の間に差を認めなかったが、非定型精神病群と統合失調症群の間、また、非定型精神病と正常対照群の間に差を認めた。 統合失調症においてはTh1、Th2サイトカインの変化がこれまで報告されていたが、非定型精神病ではThサイトカインの変化について検討した報告はなかった。今回の我々の結果から非定型精神病はTh3サイトカインの変化が関与することが示唆された。
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