20年度は5月「見守り活動」、8月「高齢者の支援」、9月「中間市こころの健康づくり事業」、10月「うつ病」、21年2月「アルコール依存症」の研修会を開催した。研修最終回に3年間の研修を通じての感想・意見を参加者にアンケートした。21年3月研究内容を報告書にまとめた。この研修会は、平成18年春から中間市で始まった自殺予防のモデル事業(中間市こころの健康づくり事業)に合わせて実施された。自殺予防に対して民生児童委員がどのような役割を果たすのかについては、これまで総論的な話はあっても、継続した実践報告はほとんどなかった。我々の取り組みは、特に地域精神保健が活発に行われていたわけでもない一地方都市で、3年間継続的に民生児童委員に対する精神障害の啓発研修を行った実践報告であること、6校区別に少人数で研修を実施したこと、地域精神保健に関した様々なテーマで研修したこと、精神科医が中心となり行政職員、精神保健福祉士らとチームを作って研修を実施したことなどに意義がある。3年間で13テーマの研修(総研修会数51回)を実施したが、研修会の内容は必ずしも掘り下げた内容にならず、精神障害についての基礎的な知識を伝授することしかできなかった感がある。その理由には、時間的な制約があったこと(基本的に講義は30分以内にするという参加者からの要望)、参加者の知識、研修に対する意欲に温度差があったことなどがあげられる。しかし、多くの参加者はこの研修を有意義なものと受け止めたことはアンケート結果から示された。今後は、より現場の状況に即した精神障害を持つ方への支援事例をわかりやすい資料(DVDなど)にして提示すること、参加型の研修にすること、地域の精神医療機関の方々等を交えた研修会を開催すること、臨床心理士や精神保健福祉士の視点からの研修(特に相談の受け方、傾聴法などで)を取り入れることなどが必要と思う。
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