研究概要 |
統合失調症は高血圧・糖尿病・アレルギー性疾患などと同じように非常に罹患率が高い疾患であり、さらに治療も困難であることから、その病因解明・治療法の確立が強く求められている。しかし、統合失調症は複数の疾患感受性遺伝子の相互作用に環境因子などが関与して生じる複雑遺伝疾患であると考えられており、従来の連鎖研究などを用いた研究での遺伝子同定は難しい。そこで、本研究では、10万個以上の高密度SNPsマーカーを用いた全ゲノム領域連鎖不平衡マッピングとそれに続く疾患感受性座位についての詳細な検討により、統合失調症発症に関与する疾患感受性遺伝子を同定することを目的とした。 まず我々は、1)1st Screeningとして日本人統合失調症120家系(360サンプル)を対象としてAffymetrix社GeneChip 100K Arrayを用いた高密度連鎖不平衡マッピング(全ゲノム領域を網羅する10万SNPs)による解析を行い、次に2)2nd Screeningとして1st Screeningで統合失調症と有意な関連が認められた1,536 SNPsに対して、llumina社のBeadChip technologyを用いた追試を500人の統合失調症孤発例及び500人の健常対照者を対象として行った。その結果、全染色体領域から70箇所の領域を関連座位として同定した。さらには、これらの領域が人種・民族を超えた発症危険因子であるのかを確認すべく、米国国立衛生研究所(NIH)から供与された中国人統合失調症293家系(1,163サンプル)を用いた詳細な関連研究を行い、最終的に複数の有力な疾患感受性遺伝子を同定した(現在投稿準備中)。
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