研究概要 |
統合失調症は罹患率が高く治療も困難であることから、その病因解明・治療法の確立が強く求められている。しかし、統合失調症の発症には複数の疾患感受性遺伝子と環境因子とが複雑に関与しており、従来の連鎖研究や候補遺伝子研究での遺伝子同定は困難である。そこで、全ゲノム領域に均等に配置された10万個以上の高密度SNPsマーカーを用いた連鎖不平衡マッピング(GWA ; genome-wide association study)に期待が集まっている。 本研究では、GeneChipを用いたGWAとその結果に基づいた疾患感受性座位の詳細な検討を行った。まず、1st Screeningとして日本人統合失調症罹患者およびその両親からなる120家系(360サンプル)を対象に、Affymetrix社GeneChip 100K Arrayを用いたGWA解析を行い、次に2nd Screeningとして1st Screeningで統合失調症と有意な関連(P<0.01)が認められたSNPsに既報において疾患との連鎖が報告されている領域から選択したSNPs(P<0.05)を合わせた1,536SNPsに対して、llumina社のBeadChip technologyを用いた追試を506人の日本人統合失調症孤発例及び506人の健常対照者を対象として行った。さらには、これらの領域が人種・民族を超えた発症危険因子であるのかを確認すべく、米国国立衛生研究所(NIH)から供与された中国人統合失調症293家系(1,163サンプル)を用いた詳細な関連研究を行い、最終的に複数の共通する有力な疾患感受性候補遺伝子を同定した。
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