研究概要 |
フットショックの予測に伴う事象関連電位をラットの頭蓋上で記録し、ストレスによる覚醒レベルの変化と脳機能との関連を分析した。 ウィスター系雄ラットを用い、麻酔下で電極植え込み手術を行った。表面脳波計測用のステンレスネジ電極を前頭葉、後頭葉、側頭葉直上の頭蓋骨に設置し、電極からのリード線をコネクターに連結し、レジンセメントにより頭蓋骨に固定した。手術後1週間の回復期の後に記録を開始した。脳波は生体信号増幅器(ER-1,Sygnus社)にて記録し、パソコンに保存した(Power1401,CED社:平成18年度購入備品)。 脳波データはラットがストレス負荷を受けている時に測定した。2っの音刺激(5KHz音または、10KHz音)の一方(標的音)が呈示された1秒後にケージの床面のグリッドに電流を1秒程度流した(フットショック)。他の音刺激後にはフットショックは加えなかった(非標的音)。約10秒の刺激間間隔で1時間、音刺激とフットショックを与え、脳波を記録した。 標的音に対する誘発電位に続き、陰性電位が主として前頭葉に出現した。陰性電位はフットショックまで続き、ストレスの予測に前頭葉が関連している可能性が示唆された。 この陰性電位は人のCNVに類似するものと考えられるが、ラットの匹数を増やし、所見を確かなものにするとともに、皮質内の電位分布や、神経発火との同時記録を行っている。 今後この電位変化をもとに、ストレスに伴う覚醒レベルの変化と前頭葉機能との関連について分析を行う。
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