本研究の目的は、ストレス性の精神障害の主要な症状の一つである「過覚醒」の指標を開発することである。ラットの脳波、事像関連電位、脳内フィールド電位、脳内神経発火、及び心拍変動などの生理指標を用い、ストレス負荷(フットショック)が「覚醒機能」に与える影響を明らかにするための研究を行ってきた。 「覚醒機能」は1)外的要因に対する脳の電位的反応や2)自律神経活動の長期変動の面から評価する。脳の部位としては覚醒注意機能に関連すると考えられる前頭葉に焦点を当て、感覚刺激に対する脳波や神経発火などの反応を記録する。自立神経活動は心拍数および心拍変動を周波数分析して得られる交感神経及び副交感神経活動指標を用いて解析する。神経活動の長期変動としては、脳の電機活動や自律神経活動の周期的変化を用いている。これら覚醒関連指標がストレスによりどのように影響を受けるのかを知ることにより、ストリスによる「覚醒機能障害」の神経メカニズムの解明につなげる。
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